音楽は、作曲した人と作詞した人がいます。また、編曲した人もいます。楽曲には知的財産権というものが存在し、当文化協会のように非営利団体であっても、利用方法によっては、相手の権利を侵害する場合がありますので、以下のページを用意しました。参考にしてみてください。
著作権の法律
(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
非営利であれば、問題なさそうですが、必要経費を補うための入場料徴収や、ゲストへの謝金が発生すると、上記38条には該当しなくなります。
著作物が自由に使える場合(文化庁)
著作権管理団体
ここでは、日本における大きな2つの著作権管理団体を表示しておきます。
最初に演奏したい(流したい)曲は必ず調べましょう
様々な曲の中には、そもそも著作権管理団体に登録すらされていない曲もあります。また、登録されていても、公演の処理を著作権管理団体に委託していない場合もあるでしょうから、ともかく一度調べてみましょう。
日本著作権協会では、右上の 「J-WID」という所をクリックして、検索を開始します。
該当曲がわかったら、そのリンクをクリックして詳細を見ると、それぞれ、演奏における権利の状況と各種公開等における権利の状況が出てきます。
特に曲名を検索した場合に、同一名の曲が数多く出てくる場合がありますので、自分のグループが演奏希望しているものと合致しているかどうか確認してください。演奏している人がだれなのかが表示されると思いますので、そこで参考になります。
NexToneでも右上に「作品検索」という所がありますので、これをクリックして楽曲検索をします。
上記管理団体に楽曲が登録されていない場合
管理団体に権利処理をお願いしていない事が考えられますので、楽曲の資料を頼りに、出版社に直接交渉をする必要があります。 他の曲に切り替える事もお考えください。
他のケースでは、検索に失敗しているケースもあります。 例えば、「マイウエイ」「マイ・ウェイ」「MYWEY」「My Way」どの状態で登録されているかわかりませんので、いろいろ試して検索してみてください。 曲によっては、Wikipedia等で調べることができます。
P.D. とは
PDとは、パブリックドメイン(public domain)という意味です。 もともと、作者が死後50年を経過するとその権利が発生していない状態または消滅した状態となるものでしたが、戦後の混乱時の20年を考慮する必要が出てきたため、作者の死後70年が経つと、作者のもつ知的財産権が発生しない・消滅するというものです(国によって扱いが異なる事があります) ただ、PDの反対語でプライベートドメインとは言いません。(インターネット用語になってしまいます)このような曲は、自由に演奏できますし、後述しますが、演奏時に必要となる編曲も簡単にできます。
この場合でも、楽譜などの出版物には、著作隣接権があります。演奏人数分の楽譜を購入することで回避できます。
PDとなっている曲の入ったCDやレコードを利用する場合には、著作隣接権があるので、原盤権をもつ会社に使用料を支払う必要があります。
△マークがある場合
この場合、管理団体は、一部の権利を代行しているが全部ではありません。 場合によっては、残りの権利部分を自分で処理する場合も出てきます。(例:複数の権利者がいる場合など)
著作権使用料の概算
日本音楽著作権協会のHPでは、利用料の概算が計算できます。当然曲によって違ってくる可能性があるので、あくまでも目安となりますが、見ておいてください。 入場料を設定する場合には、非営利活動であっても、著作権関連処理が必要です。
対象曲が検索できたら
その曲は、演奏が可能だと思いますので、企画に組み込んでください。演奏前に必ず管理団体に申請をします。パブリックドメインの曲であっても、申請書には記載します。
- 演奏に使う楽譜は、元本のものを使います。コピーは利用できません。
- パブリックドメインのものも、楽譜は出版社から購入したものを使います。
- 概ねインターネットからダウンロード販売された楽譜も、1名1楽譜という考え方で利用できます。 数段ある楽譜で相当数の人数で演奏する場合、演奏者分を購入する必要があります。
申請時に概算が出てきますので、ご用意願います。その後管理団体から請求書が届きますので、精算します。
入場料や謝金が発生する場合には、申請してください。
Youtubeに投稿する場合
Youtubeに限らず、動画投稿サイトの多くは、著作権管理団体とある種の契約を結んでおり、著作権管理団体に登録されていれば、この処理は、Youtubeが行ってくれます。なので、管理団体で曲を検索し、該当曲の詳細で、「配信」の部分に○がついていれば、投稿可能です。
この場合、CDやカセットテープの音をそのまま使うことはできません。厳密には公演会場での発表の様子を録画したものをアップロードするには、出版社の了解を得て料金を支払う必要があります。(著作隣接権があります)
ダンス・舞踊での音楽利用
(入場料や謝金を伴う場合)
ダンス系や舞踊系で必ず必要となる音楽ですが、先に示したとおり、著作権が処理できたとしても、残念なことに、本番にCDやカセットテープを使って曲を流すことが、出来ないことになっています。 著作権協会ではこの部分は解決できません。 該当曲の権利をもった先に許諾を得て、利用料を支払う必要があります。
- 生演奏が可能な場合は、演奏してくれる友人はいませんか?
- ダンス分野によっては、パソコンのソフトを使って、(インストになりますが)作れるそうです。
生演奏も原盤利用料も、予算が掛かりそうですが、生演奏であれば、原盤使用よりも面倒な手続きが無く、予算もそれなりにできそうですよね。
編曲について
演奏する場合、編曲を考慮する必要があります。基本的に演奏は楽譜に編曲形態が示されているので、そのとおりに演奏する必要があります。
また、著作権管理団体は、編曲の申請を受け付けていませんので、権限を有するところに直接お願いすることになります。
演奏を間違えたとか、緊張して演奏しなかった・手拍子を入れた・2回繰り返す所を3回やってしまった・全体的に調を変更して演奏した等は該当しません。
権利者は、編曲する権利を専有しているので、私達自分でアレンジすると、許可の無いアレンジになります。 ただ、この部分は論議になっている部分でもあります。 必ず指定の楽器で演奏できるとも限りませんし、該当楽器が無く、そのパートは演奏しなかった等、アマチュア団体だからこそつきまとう問題もあると思いますが、現状の法的には、権利者に従うしかありません。
もともと、元の権利者が意図しないアレンジで、利用者が不当な利益を生み出す事や、著作者が不快なアレンジを禁止できるというのが、考え方の元にあるようですので、概ね逸脱しない程度の事であれば、もとより非営利利用の範疇ですので、著作者の本意を尊重した演奏をすれば問題ないと思います。 Jazzやポップスでドラムなんかは4小節目や8小節目で、同じようにと言われても困ります。
パブリックドメインになっている曲でもCDで本番利用すると(営利で)隣接権-許諾等必要ですが、楽譜をお持ちなら、コンピューターで鳴らすという手もあります。MIDIですね。この場合購入したMIDIデータは、CDと同じ取扱なので、厄介でも、自分で打ち込んでください。そうすれば、ご自由に使用できます。 許諾なく編曲しても構いません。
カラオケの発表会での手順
カラオケの発表会では、入場料やゲストへのギャラ。CMまがいな事があれば、申請対象となるようです。 また、この著作権以外に、バックの音楽に対しては、利用するメディアやシステムによって扱い方が変わってきます。(曲自体の権利は→著作権協会。バックの音楽は→カラオケ会社)
入場料について
どのような発表会でも、応分の経費は掛かるものです。 この経費補填のために、当日入場料を設定することがありますが、上記のカラオケ部会の図でもわかるとおり、名目とか、言い訳とかが通用しません。入場料を徴収すると、非営利に該当しなくなり、著作権料もかかる恐れがあります。
発表会に掛かる費用はわかっているのですから、当初年間の活動経費に組み込み、予算計画をしましょう。どちらにしても、発表会のためにあてがう徴収は、前日であっても10日前であっても入場料とみなされます。
入場料を徴収し、著作権料を支払って公演したほうが良いと判断する事も多いと思います。この場合は、著作権管理団体の指定の通りに、開催5日前までに、申請を行います。席によって料金差を設ける場合には、平均値の料金を算出しておきます。(S席1000円、一般席500円なら1000+500=1500 ÷2=750円
著作権申請
著作権申請が必要な場合、申込書は以下のページからダウンロードしてください。申請は、催事の5日前までに行います。
NexToneの場合には、WEB上での手続きになりますので、初めての場合には、WEB上で登録が必要です。日本音楽著作権協会でもWEB上で処理ができます。
申請は自由にどちらにも出来るわけではなくて、上で検索して管理していれば、申請ができます。
おわりに
あまりにも複雑で厄介だと、演奏会を中止したくもなりますが、非営利の基準(金銭の徴収やギャラ・CMまがい行為除去)を満たせば、著作権管理団体に登録されているものに限り、今まで通りに発表や演奏が可能のようです。
また、市販曲が素晴らしいのは当然で、利用したいところではあるのですが、私達自身がオリジナルの曲を作り発表したり、パブリックドメインになっている曲に手を加え、彩りを添えて演奏すること、あるいは、ダンス音楽であれば、DAW(デジタル・オーディオー・ワークステーション)を利用すると、インストものであれば、かなり質の高いものが作成できますので、こういった自主制作をし、人的な横のつながりを拡大することで、演奏可能な作品を増やせる可能性があると思います。
こうして考えると、新たな創造への可能性があり、創作への機会が与えられたと捉えることも出来ると言うのは、言い過ぎでしょうか。
本文作成には
- 文化庁 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
- 日本音楽著作権協会 https://www.jasrac.or.jp
- NexTone https://www.nex-tone.co.jp
- Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
- 各ページを参照し、引用し作成させて頂きました。令和4年12月4日
東御市文化協会事務局 0268-62-3700 (東御市文化会館内)